【接骨院開業準備シリーズ3】損益分岐点を出す。

こんにちは!接骨院開業コンサルタントのウエダケンジです。

ブログの順番どおりに進めれば、接骨院の開業が準備できちゃうシリーズ。

前回【開業場所を選ぶ】はこんなお話でした。

  • 開業場所は<地域><物件>の2つから考える
  • 地域は、自院の<事業コンセプト><ターゲット層>に合わせて選ぶ
  • 地元限定など地域が変えられない場合は、地域性に事業コンセプトを合わせる
  • 物件は、自院の予算に合わせる

そして、地域・物件共に<事業計画書>を活用しましょう、でしたね。

物件選びは、まさに「”理想”と”現実”のバランスをどうとるか?」

でも、”理想””現実”って自分のアタマの中にある”イメージ”とは限りません。

実は、予算面の理想と現実なら”数字”で出せます。

それが今回のお話、<損益分岐点>


損益分岐点は売上-費用=0


損益分岐点を出しておくと、「自院の理想と現実」が目に見えるので、確信をもって経営できます。

(損益分岐点には<損益分岐点売上高><損益分岐点販売数量>があるんですが、今回は損益分岐点売上高のみの紹介です)

では、損益分岐点(売上高)とは何か?

1 損益分岐点は、売上(収入)から費用(支出)を引いてゼロになる”数字”(金額)

  • 売上-費用=0=損益分岐点

つまり、入ってくるお金と出ていくお金がトントン・・・・な金額。

仮に月の費用が50万円かかるとしたら損益分岐点は50万円。

49万円では損益分岐点に1万円赤字、51万円だと1万円黒字となります。

2 損益分岐点は、「いくら稼げばいいのか?」「いくらに抑えればいいのか?」=まさに「理想と現実」のバランス

となると費用の把握が必須ですが、この費用を<運転資金>または<ランニングコスト>と言います。

運転資金とは接骨院を経営していく上で必要な諸々のお金。

大きく分けると2種類あります。


運転資金には固定費と変動費がある


損益分岐点の基準となる費用(運転資金)は、<固定費><変動費>の2つに分かれます。

1 固定費:売上高(販売量)と関係なく一定にかかる費用

固定費”例”

  • テナント賃料
  • 人件費(固定給)


2 変動費:売上高(販売量)と比例して増えたり減ったりする費用

変動比”例”

  • 人件費(歩合給、時給)
  • 水道光熱費
  • 消耗品費(テーピングテープなど)
  • 販売促進費(広告など)

両方とも運転資金なんですが、性質が違うので分けるのです。


【補足】固定費と変動費は独自に決められる


ここで補足です!

上記では、固定費”例”、変動費”例”となってますよね。

今回は、いわゆる<会計>のお話なんですが、会計には<税務会計><財務会計><管理会計>の3種類があります。

そのうち税務会計は税法、財務会計は金融商品取引法など法律に則って進めなければなりません。

ところが管理会計(損益分岐点は管理会計)だけ縛りがなく、「YOU、やっちゃいなよ」状態。

つまり、何が固定費で、何が変動費なのかは、各接骨院・整体院さんの事情で独自・・に決められるのです。

たとえば、人件費や水道光熱費をA接骨院では固定費、B接骨院では変動費にしてたりするので、”例”としました。


これがズバリ損益分岐点 


本題に戻り、いったん整理します!

  • 売上-固定費-変動費=0=損益分岐点

もっとカンタンに!

  • 損益分岐点=固定費+変動費

これがズバリ損益分岐点(売上高)の姿です。


ウエダポイント】損益分岐点で経営をシミュレート


【接骨院開業準備シリーズ】では、【事業計画書を作る】【コンセプトを決める】【開業場所を選ぶ】まで進みました。

コンセプトと開業場所が決まれば、その分の固定費は計算できるので、損益分岐点をシミュレートしてみましょう。

接骨院経営の「理想と現実」が見えてくるでしょうか。

0 まず条件を確認します

  • 院名:ウエダ接骨院
  • 人数:ウエダ1人・・・涙
  • 地域:世田谷区世田谷
  • 物件:テナント賃料10万円(10坪、築40年)

ターゲット層はお年寄りです。東京で最も高齢者が多い地域<世田谷区世田谷>を開業場所にしました。

競合他院を見てみます。

Googleマップで「世田谷区世田谷 接骨院」を検索すると、たくさんの接骨院・整骨院さんが表示されます。

患者さんが通院可能なエリアに絞ると7院!厳しい~。

北斗七星のように並んだウエダ接骨院のライバルたち

1 では1か月の固定費を計算します

  • 人件費:30万円
  • テナント賃料:10万円

1か月の損益分岐点は40万円。これが月次の最低売上目標になります。

ちなみにテナント賃料10万円は損益分岐点の25%になります。

2 つぎに1か月の稼働日数を決め、1日の損益分岐点を計算します

  • 稼働日数:22日
  • 1日の損益分岐点:18,182円

目指せ週休二日!

3 損益分岐点に必要な来院数を計算します

  • 1日の来院数:19.9人
  • 1か月の来院数:437人

施術単価を915円(保険施術、1部位、再検料+施療料)として計算しました。

実際は、ここに変動費(水道光熱費、消耗品費、販売促進費、借入金など)も加算されます。

また、損益分岐点はプラマイゼロ=最低限の売上目標。

黒字化には、変動費分も含めプラス20万円(月商60万円)は欲しいですね。

月商60万円は別の面からも目指すべき数字です。

1で、テナント賃料10万円は損益分岐点の25%でした。

しかし、コンサルティング的には、15%以内に抑えたいところ。

なので賃料が10万円なら、目標月商はやはり60万円が目安となります。

さて、売上目標はわかったのですが、ウエダ1人の施術数には限界があります。どうしよう!

4 シミュレーションの結論です

  • ウエダ接骨院は、単価を上げるため、自費メニューも採用する。

簡易版でしたが、経営ポイントは見えましたね。

損益分岐点のお話では<限界利益率>も紹介したほうがいいので、また別の機会にでも。

最後までおつきあい、ありがとうございました。

次回の【接骨院開業準備シリーズ】【開業資金を集める。(前編)】です。

ではまた!


上田健二
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電話:042-306-2689(代表)
FAX :042-306-2690


<参考元>

『税理士法人サム・ライズ「【わかりやすい図解付き】損益分岐点で儲けの出る売上高を知る!」』

『世田谷区「世田谷区の高齢者人口」』