【接骨院開業準備シリーズ7】内装を創る。(前編)

こんにちは!接骨院開業コンサルタントのウエダケンジです。

ブログの順番どおりに進めれば、接骨院の開業が準備できちゃうシリーズ。

前回【保険請求は代行団体に入る】はこんなお話でした。

  • 施術は<柔道整復師の資格>があればできるが、健康保険組合などへの保険請求は<施術管理者の資格>がないとできない
  • 保険請求(正式には<療養費支給申請>)には、<償還払い><受領委任払い>がある
  • 保険請求は煩雑な事務作業なので、<請求代行団体(柔道整復師会)>への入会がおすすめ
  • 100以上ある請求団体から選ぶので、チェックポイントをよく確認する(特に、手数料が安い団体は要チェック!)

そして、迷って決められない先生はウエダにご相談ください、でしたね。

今回は【内装を創る】です。

【接骨院開業準備シリーズ】の7番目になりますが、実際の準備では、接骨院開業準備シリーズ 開業場所を選ぶ】の続きとなります。

7番目にしたのは、内装にも<事業コンセプト>など過去のシリーズで紹介した情報がすべてかかわるからです。

つまり内装は、これまでで最も難しい段階!

ま、それはいったん置きまして、【開業場所を選ぶ】までをおさらいしときましょう。

  1. <事業計画書>を作リ始める
  2. 開業したい接骨院の<コンセプト>を決める
  3. 開業場所を選ぶ
  4. 物件の内装を創る←イマココ

【開業準備シリーズ】でも一番重要な段階です。

その分難しいので、【前編後編の2回に分けて紹介します。


内装に全集中!


物件が決まれば、「外装・内装をどうしよう?」となり、開業準備は一気に進み始めます。

逆に物件が決まらないと、なかなか具体的には動けないですね。

でも、ちょっと待ってください!

接骨院の開業準備では<内装>に大きなハードルがあるんです。

ここでつまづくと、冗談ではなく、すべての準備が止まります。

なので、【開業準備シリーズ】は内装に全集中で紹介します!


接骨院には構造設備基準がある


接骨院の内装に立ちふさがるハードル、それは<構造設備基準>

柔道整復師等専門学校の授業<関係法規>で習ったかもしれませんが、接骨院(施術所)の内装には国(厚生労働省)と地方自治体(保健所)がさまざまな”決まりごと”をつくっています。

その決まりごとを構造設備基準と言います。

接骨院は、内装(構造設備)を”基準”に従って施工しないと開業できません。

つまり、内装で失敗すると、すべての準備が止まります。

ではいったん目線を変えて見てみましょう。


構造設備基準と施術所開設届


接骨院を開業する手続きで最も重要なのが<施術所開設届>

施術所開設届(柔道整復)(『新宿区「施術所等の届出手続き」』より)

新宿区保健所では、施術所開設届と共に下記の書類を2部ずつ提出します。

  1. 定款等の写し及び登記事項証明書(開設者が法人の場合)
  2. 施術所の平面図(施術室・待合室の各面積及びその区画、外気開放部分、換気扇の位置、施術用器具、消毒設備の配置箇所を記入)
  3. 施術所への案内図
  4. 施術者の免許証の写し(原本照合のため、本証も持参)
  5. 施術者の身分証明書(運転免許証等原本)の提示
  6. 開設者が個人の場合、開設者の身分証明書(運転免許証等原本)の提示

※施術所開設届は、あはきと柔整で書類様式が違うので要注意です。

※実際の準備では、自院の開業地域にある保健所で確認してください。

さて本題です。

この施術所開設届は、”開設後10日以内”に保健所へ提出しなければなりません。

すでに”開業しました状態”で出すわけです。

保険請求とのからみで<プレオープン>というていにしたりしますが、それは【開業準備シリーズ10 プレオープンを過ごす】で改めて紹介します。

今回大事なのは、「開業前ではなく開業後に届を出す」こと。

すると保健所の担当者が立会検査にやってきます(保健所によっては検査しないところもあります)・・・何の検査かと言えば、構造設備基準です。


【補足】厳しく!細かい!指導事項


補足です!

構造設備基準には<厚生労働省令><指導事項(基準)>の2つがあって、そのうち指導事項(基準)は各市町村の保健所が独自に設定しています。

  • 構造設備基準=<厚生労働省令> by 厚生労働省+<指導事項 (基準)>by 各地の保健所

指導事項(基準)は各保健所によって様々ですが、基本的に厚生労働省令をさらに厳しく!細かく!したものと思ってください。

原因の根本は、接骨院がこの10年で40%以上も増え、競争が激しくなったため。

一部の院が「広告制限や構造設備基準なんて守ってられるか!」とやり出したので、保健所も対抗措置として規制を強めたのでしょう


改善指導なら工事はやり直し


本題に戻ります!

構造設備基準は、もう患者さんを迎えられる状態で検査されます。

基準に合ってるかないかは、検査に来た担当者が判断します。

なので、とにかく担当者さんが「ダメ!」と言ったらダメ。

<改善指導>が下されれば、再検査で合格するまで内装工事をやり直しです。

その間、患者さんも待っててくれればいいのですが・・・

では、スムーズに合格するカンタンな方法を紹介します。


ウエダポイント接骨院熟知した施工業者を選ぶ PARTⅠ


ズバリ!接骨院の工事経験・・・・・・・・が豊富な施工業者さんを選びましょう」

これだけです。

ウエダが知っている例では、ある先生が「とにかく接骨院のイメージを変えたい」と主にカフェなどを施工してきた業者さんに頼んだ結果、検査に落ちてしまいました。

その院は改善指導を山ほどもらって、当初350万円の予定だった施工費が700万円かかったそうです。

でも避ける方法もありました。

内装図面が出来上がったら、工事に保健所へ行って確認してもらえばいいのです。

いろいろアドバイスももらえますし、何か事情があれば相談もできるので、ウエダはおすすめしてます。

しかし、接骨院を熟知・・した業者さんなら構造設備基準を普通にクリアできます。また、裏ワザ的なノウハウもあるとか、ないとか。

では、業者さん選びのチェックポイントを紹介します。 

  • 業者選びは最重要!時間をかけてでもしっかり選ぶ
  • 知り合いの接骨院から紹介してもらう(オープンして1~2年以内)
  • 施工実績はあるか(知り合いの院があったら感想を聞いてみる)
  • 担当する保健所の構造設備基準を把握しているか
  • 見積もり、工程表、補償のすべてが明確か

施工実績は、もちろん接骨院の施工です。しかも1~2年以内のものに限定しましょう。

「選ぶ時間がない」「いま伝手がない」先生は、ウエダにご相談ください。

関東圏内限定ですが、実績のある業者を紹介します。

次回の【接骨院開業準備シリーズ】【内装を創る。(後編)】です。

ではまた!


【おまけ】物件にはスケルトンと居抜きがある


今回のおまけは、内装でよく質問される費用についてです。

【接骨院開業準備シリーズ4 開業資金を集める。(前編)】の初期費用例【内外装費】でも紹介しましたが、50~500万円くらいの開きがあります。

初期費用例

項目金額
物件取得費50~300万円
設備費200~300万円
内外装費50~500万円
備品購入費10万円
販売促進費(広告など)10~100万円
合計300万円~1,000万円以上
まさにピンキリ!

費用には物件の形態が大きく関係します。

ざっと分けると<スケルトン><居抜き>になり、内装にかかる費用・労力がそれぞれ異なります。

スケルトン

  • ド新築のビルに多い。柱・梁・床などの構造がむき出し状態
  • 水道、電気などもなかったりするので内装費用はかかる
  • 工事期間も長く、最低でも1か月は見込んだほうがいい
  • 自分の理想に近い院を造れる

2件目以降にしたほうがいいかもしれません。


居抜き

  • 前のテナントが使っていた内装や備品などが残っている状態
  • 一般的に、スケルトンより費用を抑えられる
  • ポイントは前のテナントの業種
    悪い例:中華料理店。壁や床は全面張り替え、ヘタすると配管も!
    良い例:歯医者さん。待合・受付・施術スペースがそのまま使え、導線まで整えられているかも

中華に限らず「飲食系」は避けたほうが無難です。逆に「治療系」なら、内装費用の節約、使い勝手の良さ、準備期間の短縮など大きなメリットが見込めます。

また、スケルトン居抜きの中間的な<半スケルトン><一部居抜き>もあったりします。


上田健二
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武蔵野メディカルシステム株式会社
〒189-0011 東京都東村山市恩多町 4-41-51
電話:042-306-2689(代表)
FAX :042-306-2690


<参考元>

『新宿区「施術所等の届出手続き」』

『全国柔整鍼灸協同組合「基本に沿った接骨院の外装と内装」』

『全国柔整鍼灸協同組合「【接骨院開業】内装工事に着工する前に知っておきたい保健所の構造設備基準とは?」』

『アイワ接骨師会「施術所の構造設備基準について」』

『柔整ホットニュース「開業のための基礎知識」』

『株式会社ABC店舗「飲食店の物件、居抜きとスケルトン費用がお得な物件はどっち?」』