柔道整復師の開業ガイド|必要な条件・手続き・費用を解説

柔道整復師として「独立して整骨院を開業したい」と考える人は多いですが、資格を取得しただけでは開業はできません。本記事では、柔道整復師が開業するために必要な条件や手続きの流れ、準備すべきポイントまでわかりやすく解説します。これから独立を考えている方は、ぜひ参考にしてください。

柔道整復師の開業を考える前に知っておくべきこと

柔道整復師が独立開業するメリットと魅力

柔道整復師として経験を積んだ先に、「いずれは自分の院を持ちたい」と考える人は多くいます。

独立開業には自由度の高い働き方や収入アップの可能性など、さまざまなメリットがあるため、キャリアの選択肢として非常に魅力的です。

まず注目すべきは、施術方針を自分で決められるという点です。

勤務している整骨院では、方針やメニューがあらかじめ決められており、自分の意見を反映させることは難しい場合が多くあります。

しかし、開業すれば自分の考えをベースに施術内容や経営戦略を構築できるため、「理想の治療院」を実現しやすくなります。

また、収入面でも可能性が広がります。

一般的に柔道整復師の平均年収は300万円〜400万円程度といわれていますが、開業して地元で信頼を得ることができれば、年収1,000万円以上も現実的に目指せる水準です。

もちろん簡単な道ではありませんが、努力次第で大きなリターンが得られる職業といえるでしょう。

さらに、柔道整復師の仕事には定年がないという大きなメリットがあります。

サラリーマンのように60歳や65歳で退職する必要がなく、体力や健康に問題がなければ、70代以降も現役で活躍することが可能です。

人生100年時代において、「長く働ける」ということは、将来にわたる安定した生活にもつながります。

これらのことから、柔道整復師として独立開業することは、自由・収入・安定性の3つを兼ね備えたキャリアの選択肢と言えるでしょう。

開業のデメリット・リスクとその対策

柔道整復師の独立開業には魅力が多くある一方で、当然ながらリスクやデメリットも存在します。

安易に開業を決断すると、資金の枯渇や経営不振に陥る可能性も十分にあるため、慎重な検討と対策が必要です。

最大のリスクは「経営の難しさ」です。

技術力が高くても、それだけでは整骨院を成功に導くことはできません。

経営には集客、接客、スタッフ管理、経理処理、広告戦略など、幅広いスキルが求められます。

これらを初めて独力でこなすのは、相当な労力と時間が必要です。

また、毎月の安定収入が保証されない点も大きなデメリットです。

会社勤めであれば、一定の給与が約束されていますが、開業後は売上次第で生活が左右されます。

開業初期は赤字が続く可能性も高く、精神的なプレッシャーも強くなるでしょう。

さらに、柔道整復師の施術所は全国的に増加傾向にあり、競争は年々激化しています。

その中で他院との差別化を図り、地域での信頼を築くには時間と努力が必要です。

こうしたリスクを回避するためには、まずはグループ院や大手整骨院での勤務経験を積むことが推奨されます。

現場での実務はもちろん、マネジメントや経営の仕組みを学べるチャンスが多く、院長・マネージャーに昇格すれば、より実践的なスキルを身につけることができます。

また、開業資金をしっかりと貯蓄し、初期費用+数ヶ月分の運転資金を確保することがリスク分散につながります。

加えて、事前に事業計画を立て、保健所・税務署などへの手続きや集患対策のシミュレーションを行っておくことも重要です。

つまり、開業で成功するためには「技術+経営力+計画性」の3つをバランスよく身につけることがカギになります。

夢を叶えるには現実と向き合い、堅実に準備を進めることが何より大切です。

柔道整復師が開業するための条件と流れ

施術管理者の要件と研修制度(2025年版)

柔道整復師が整骨院を開業するためには、まず「施術管理者」としての資格を取得しなければなりません。

この資格は、健康保険を取り扱う上で非常に重要な役割を果たすため、近年その要件が厳格化されています。

特に2024年4月以降の新ルールでは、開業には「3年間の実務経験」が必須となっており、国家資格を取得しただけではすぐに開業することができません。

この実務経験は、柔道整復師として実際に施術を行った期間がカウントされるため、学生時代の実習や資格取得前のアルバイトは対象外です。

また、実務経験を積むだけでなく、「施術管理者研修」を修了する必要があります。

この研修は、柔道整復研修試験財団などが開催しており、2日間(16時間以上)のカリキュラムで構成されています。

内容としては、保険請求の基礎や医療機関としての運営知識、接遇マナーなど、実際の経営に必要なノウハウが凝縮されているのが特徴です。

研修を修了すると「修了証」が交付され、この証明書がなければ、施術管理者として地方厚生局に届け出ることはできません。

【施術管理者になるための条件】

条件詳細
国家資格の取得柔道整復師国家試験の合格が前提
実務経験2024年4月以降の届出では3年間の実務経験が必要
施術管理者研修の修了登録研修機関による2日間(16時間以上)の研修受講

これらの条件を満たして初めて、柔道整復師として「保険適用が可能な整骨院」を開業することができます。

将来の独立開業を見据えている方は、まずは就職して現場経験をしっかり積み、必要な研修を早めに受講しておくことが成功への第一歩となります。

開業の準備ステップ

施術管理者の資格を取得したあとは、いよいよ開業に向けた準備段階に入ります。

このプロセスは非常に多岐にわたり、事前にしっかりとした計画を立てておかないと、後で大きなトラブルにつながる可能性があります。

開業準備の主なステップは以下のようになります。

ステップ① 開業地の選定と市場調査

まず最初に行うべきは、どのエリアで整骨院を開業するかの検討です。

立地によって集患数や経営の安定性が大きく変わるため、ターゲット層の年齢、周辺にある競合院の数、交通アクセスの良さなど、さまざまな要素を調査しましょう。

特に高齢者が多い地域や、スポーツ団体が多いエリアは、需要が見込めるためおすすめです。

ステップ② 物件選びと内装設計

次に、開業地が決まったら物件を探します。

ここでは厚生労働省令で定められた構造設備基準に注意が必要です。

床面積、照明、換気、待合スペース、施術室の構造などが基準に適合していないと、保健所の審査に通らず開業できません。

内装設計では、動線の確保や患者の安心感を考慮したレイアウトが重要になります。

また、医療機器の搬入時に「ドアから入らない」といったトラブルが起きないよう、サイズ確認は念入りに行いましょう。

ステップ③ 機器や備品の準備

施術に使う電気治療器やベッド、衛生用品、カルテ管理システムなど、必要な備品をリスト化して発注します。

開業直前に納品が間に合わないケースもあるため、早めの手配が鉄則です。

この段階で、院内の雰囲気づくりやブランディングの方針も考えておくと、後の宣伝活動がスムーズに進みます。

ステップ④ スタッフ採用と教育(必要な場合)

一人院長として開業する場合は不要ですが、受付や施術助手を雇用する場合は、求人の出し方や面接の基準を決め、教育方針も明確にしておくことが大切です。

院の方針をスタッフにしっかり共有し、開業初日からスムーズに運営できるよう研修を行いましょう。

ステップ⑤ 開業日と宣伝の準備

準備が整ったら、開業日を決定します。

この段階では、ホームページ作成、チラシ・パンフレット制作、SNSアカウント開設などの宣伝活動を本格化させます。

ただし、柔道整復師法には「広告の制限」があるため、掲載内容には法的なチェックが必要です。

違反すると罰則が科される場合もあるため、専門家にアドバイスを受けながら進めると安心です。

このように、柔道整復師の開業には、段取りよく進めるための知識と行動が不可欠です。

「経験を積む→条件を満たす→準備を整える」この流れをしっかり意識しながら、開業成功へのステップを確実に進めていきましょう。

開業に必要な手続きと費用相場

届け出・申請に必要な書類一覧と提出先

柔道整復師が整骨院を開業する際には、さまざまな行政機関への申請手続きが必要になります。

開業届を出せばすぐに営業を始められるわけではなく、必要な書類を正確に準備して、所定の機関に提出することが不可欠です。

さらに、保険診療や労災、生活保護の取扱いには別途申請が必要となるため、早めの準備が成功へのカギを握ります。

保健所への「施術所開設届」

開業後10日以内に、開設する地域を管轄する保健所へ「施術所開設届」を提出しなければなりません。

必要書類は以下のとおりです。

  • 施術所開設届
  • 柔道整復師免許証の原本およびコピー
  • 施術所の平面図
  • 周辺地図(最寄り駅からの案内図)
  • 賃貸物件であれば、契約書の写し
  • 法人の場合は定款の写しと登記簿謄本

これらの書類が揃っていないと、保健所は受付を行ってくれませんので、事前に様式や提出期限を確認しておきましょう。

地方厚生局への「受領委任契約届」

保険請求を行う場合、開設後に地方厚生局へ「受領委任契約」に関する届け出を提出します。

ここでは以下の書類が必要です。

  • 施術管理者研修修了証の写し
  • 実務経験期間証明書
  • 施術所開設届(保健所の受理印付き)の写し
  • 柔道整復師免許証の写し
  • 施術所の平面図および周辺図
  • 誓約書・確約書
  • 受領委任の取扱いに関する申出書(同意書)

保険診療の取扱いにはこの手続きが欠かせないため、遅れのないよう注意が必要です。

共済組合・防衛省への保険申請

国家公務員や自衛官が患者となる場合、通常の保険とは異なる手続きが求められます。

提出先と書類は次のとおりです。

【共済組合】

  • 申請書(様式第1号)
  • 確約書(様式第2号)
  • 柔道整復師免許証の写し
  • 返信用封筒

【防衛省】

  • 申出書(様式第1)
  • 確約書(様式第2)
  • 柔道整復師免許証の写し
  • 返信用封筒

これらの申請を怠ると、対象者の保険が適用できなくなってしまうため、注意が必要です。

労災保険取扱いのための労働基準局申請

労災事故によるケガを扱うには、労働基準局への申請が必要です。

提出書類は以下のようになります。

  • 指定申請書
  • 確約書
  • 施術所開設届の写し
  • 柔道整復師免許証の写し
  • 施術所の平面図・周辺図
  • 指定薬局登録(変更)報告書

申請から承認までは通常1〜3か月程度かかるため、早めに行動しましょう。

生活保護取扱いのための福祉事務所への申請

生活保護患者の施術費用を公費で請求するには、福祉事務所への届け出が求められます。

必要書類は以下のとおりです。

  • 申請書
  • 誓約書
  • 柔道整復師免許証の写し
  • 契約書(団体に所属していない場合)

申請前に地域の福祉事務所へ事前相談をしておくことをおすすめします。

税務署への開業届提出(個人事業主)

整骨院を個人で経営する場合、開業後1か月以内に税務署へ「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出します。

併せて、「青色申告承認申請書」を提出すれば、最大65万円の所得控除が受けられる可能性があるため、節税面で非常に有利です。

整骨院開業にかかる費用と資金調達の方法

整骨院を開業するにあたって、最も不安を感じるのが初期費用の大きさかもしれません。

実際、全国的な相場を見ても、整骨院の開業にはおよそ800万円〜1,200万円程度の資金が必要とされています。

この金額は、開業の立地や物件の状態、設備のグレードによって大きく変動します。

【主な内訳】

費用項目おおよその金額
物件取得費200,000円〜1,000,000円以上
内装・改装工事費1,000,000円〜3,000,000円
医療機器・備品1,000,000円〜2,000,000円
広告宣伝費300,000円〜800,000円
開業後の運転資金1,000,000円〜2,000,000円
合計目安約8,000,000円〜12,000,000円

費用を抑えるコツ

  • 居抜き物件の活用:以前の整骨院の設備や内装が残っている物件を活用することで、大幅なコストダウンが可能です。
  • 中古機器の導入:新品ではなく、中古の治療機器を選ぶことで、数十万円以上の差が出ることもあります。
  • クラウド型業務管理システムの導入:紙のカルテよりも安価で効率的な管理が可能です。

資金調達の方法

資金に余裕がない場合でも、以下のような手段で資金調達が可能です。

  • 日本政策金融公庫からの創業融資
     低金利での融資が受けられ、返済期間も長いため、開業資金の調達手段として非常に人気があります。
  • 地方自治体の助成金や補助金
     地域によっては「創業支援補助金」など、事業立ち上げを支援する制度があります。
  • 信用金庫・銀行の事業融資
     実績や計画書の信頼度次第で、民間金融機関からの融資も選択肢になります。
  • 家族・知人からの借り入れ
     金利が発生しない、あるいは非常に低いケースが多く、返済負担を軽減できます。

整骨院を開業するためには、単にお金を用意するだけでなく、何に・どれだけ使うかを明確にすることが大切です。

資金計画が甘いと、開業後すぐに資金ショートするリスクもあるため、余裕を持った運転資金の確保が不可欠です。

成功する整骨院は「準備段階で勝負が決まる」といっても過言ではありません。

開業を成功に導くためのポイント

経営視点とマーケティングの重要性

柔道整復師として整骨院を開業するだけでなく、経営者として成功するためには「経営視点」と「マーケティングの知識」が不可欠です。

いくら施術技術に自信があっても、集客ができなければ売上は立たず、経営は成り立ちません。

まず、最も大切な視点は「利益を残す」という意識です。

利益を出すためには、売上だけでなく、経費やコスト構造を正確に把握することが重要です。

日々の入金と支出を管理し、帳簿をつける習慣をつけることで、キャッシュフローの把握がしやすくなります。

また、整骨院経営におけるマーケティングとは、「患者さんに来てもらうための工夫」です。

ただチラシを配ったり、ホームページを作成したりするだけでは不十分です。

どんな人に、どんな悩みを、どのように解決できるかを明確にし、それを的確に伝えることがマーケティングの基本となります。

例えば、以下のような視点で情報発信を行うと効果的です。

  • 腰痛・肩こり・スポーツ障害など、症状別にターゲットを設定する
  • SNSで実際の症例や施術の流れを紹介する
  • 患者の声(口コミ)を掲載して信頼を可視化する

さらに、定期的にキャンペーンを実施したり、LINE公式アカウントでクーポンを配布したりすることで、再来院の促進にもつながります。

経営と聞くと難しく感じるかもしれませんが、最初は「利益=売上−経費」の意識を持つことから始めてみましょう。

そして、マーケティングは「あなたの施術を必要としている人に、あなたの存在を届ける手段」だということを忘れずに。

この視点があるかないかで、開業後の成否が大きく分かれると言っても過言ではありません。


患者に選ばれる整骨院の作り方

整骨院を開業しても、地域の中で「選ばれる存在」にならなければ経営は長続きしません。

選ばれる整骨院になるには、単に技術力が高いだけでは不十分であり、患者さんとの信頼関係が何よりも大切です。

まず意識したいのが「初回の印象」です。

来院時の挨拶、笑顔、清潔な院内環境、丁寧なカウンセリングなど、患者さんが「また来たい」と感じるための要素が非常に重要です。

次に、コミュニケーションの工夫です。

  • 施術の前後に症状の原因と改善計画を説明する
  • 不安や疑問にしっかり耳を傾ける
  • 施術中も声かけを行い安心感を与える

このような対応ができると、患者さんは「ここなら信頼できる」と感じ、リピートに繋がります。

加えて、院内の清潔感やレイアウトにも気を配りましょう。

整理整頓された空間、明るい照明、静かなBGMなど、患者がリラックスできる雰囲気づくりも評価の対象になります。

また、「口コミ」が新規集客の鍵になります。

そのためにも、日々の施術で感動を提供する意識が求められます。

患者さんがSNSやクチコミサイトで好意的なコメントを残してくれるような体験を意識しましょう。

さらに、アフターフォローの体制も整えておくことが差別化に繋がります。

例えば、LINEやメールで施術後の体調確認や次回予約のご案内を送るなど、来院後のフォローができると信頼度がグッと高まります。

【患者に選ばれる整骨院のチェックポイント】

項目内容例
初回対応丁寧なカウンセリング・挨拶・身だしなみ
コミュニケーション分かりやすい説明・傾聴・親身な対応
院内環境清潔・明るい・安心できる空間設計
差別化ポイント特化症状・自費メニュー・施術時間の柔軟性
アフターフォローLINE・DM・再診案内などの接点づくり

患者に選ばれる院になるには、常に「自分が患者だったらどう感じるか」を想像することが大切です。

その視点を持ち、心を込めた対応とサービスを提供し続けることが、地域で長く愛される整骨院づくりのカギとなるでしょう。

まとめ

柔道整復師として開業を目指すなら、まずは制度や条件、手続きの流れをしっかり理解することが何より重要です。

国家資格を取得するだけではなく、施術管理者としての実務経験や研修修了などの要件をクリアしなければ、整骨院を開業することはできません。

また、開業には1,000万円前後の費用がかかるケースも多く、設備・広告・運転資金など多方面にわたる出費を想定して、綿密な資金計画を立てる必要があります。

その一方で、自分の理想の施術方針を実現し、努力次第では高収入も見込める魅力的な働き方でもあります。

そして、整骨院経営を成功させる鍵は「集客力」と「差別化」です。

そのためには、施術技術だけでなく、経営者としての視点とマーケティング戦略が不可欠です。

特に、近年注目されているのが、施術の効果を高めながらスタッフの負担を軽減できる「医療用EMS機器」の導入です。

中でも、武蔵野メディカルシステムが提供する【次世代EMS「時短君」】は、整骨院の売上アップと施術の質向上を同時に叶えるソリューションとして高く評価されています。

【時短君が選ばれる理由】

  • わずか30分で深層筋を鍛える高出力EMS機能
  • 施術スタッフの時間と手間を削減できる省人化設計
  • 導入初月から月商アップを実現した成功事例が多数

こうした高性能なEMS機器を活用することで、患者満足度の向上と経営効率の両立が実現できるのです。

「どの機器を導入すべきか迷っている」「開業にあたってプロのアドバイスが欲しい」とお考えの方は、整骨院支援のプロである武蔵野メディカルシステムへお気軽にご相談ください。

経験豊富なスタッフが、Zoom説明会や無料相談を通じて最適なプランをご提案します。

👉 整骨院開業支援のお問い合わせはこちら
👉 次世代EMS「時短君」製品ページはこちら

整骨院開業の第一歩を、確かな知識と信頼できるサポートで踏み出しましょう。
あなたの夢の実現を、私たちが全力で応援します。