接骨院の開業を目指す柔道整復師にとって、夢の実現は届出手続きから始まります。機器や内装の準備が整っていても、届出が不十分であれば開業できないことも。この記事では、保健所・厚生局・税務署などへの手続きを時系列でわかりやすく解説。あなたのスムーズな開業をサポートします。
接骨院の開業に必要な3つの届出とは?
接骨院を開業するには、資格や設備が整っているだけでは不十分です。
スムーズに保険請求を行いながら施術を開始するためには、複数の行政機関への「届出」が不可欠です。
中でも重要なのは以下の3つです。
施術所開設届とは?保健所への申請手続き
接骨院の開業において、まず最初に行うべきは「施術所開設届」の提出です。
この届出は、柔道整復師法第19条に基づき、施術所を開設した日から10日以内に提出する義務があります。
つまり、開業準備が整った後、開院してから速やかに保健所へ申請しなければなりません。
ただし、保健所によっては事前相談が必要な場合もあるため、余裕を持って準備を進めることが大切です。
【施術所開設届に必要な書類】
書類名 | 補足事項 |
施術所開設届 | 保健所の指定フォーマットを使用 |
柔道整復師免許証(原本・写し) | 有効な免許証であることを確認 |
施術所の平面図 | 部屋の用途や面積が明記されていること |
最寄駅からの案内図 | アクセスルートが明確なもの |
賃貸契約書の写し(賃貸の場合) | 所有者との契約が確認できるもの |
法人登記簿謄本・定款(法人の場合) | 法人格を証明する公的書類 |
このうち、提出書類は通常2部必要です。
1部は保健所提出用、もう1部は後の手続き(厚生局や労働基準局への申請)に使うための控えとして使います。
受領印をもらった控えは必ず保管しておきましょう。
さらに、施設の構造基準(換気・採光・面積など)に適合していないと申請が受理されない可能性もあるため、図面や間取りも慎重に確認する必要があります。
受領委任契約に関する届出とは?
施術所の開設届だけでは、まだ健康保険を利用した保険診療を始めることはできません。
保険者に治療費を直接請求するには、「受領委任契約」の手続きを済ませ、契約記号番号などの認可を得る必要があります。
この手続きは、以下のように複数の機関へ個別に届出を行う必要があるため、準備やスケジューリングが非常に重要です。
【受領委任契約で必要な届出先】
- 地方厚生局(社会保険・国民健康保険などへの請求)
- 共済組合連盟(国家公務員等の保険請求)
- 防衛省(自衛隊関係の保険者対応)
- 労働基準局(労災保険の指定医療機関申請)
これらの機関ごとに、申請様式・必要書類・審査期間が異なります。
例えば、地方厚生局へ申請する場合には以下のような書類が求められます。
- 確約書(様式第1号)
- 受領委任取扱申出書(様式第2号)
- 柔道整復師免許証の写し
- 実務経験証明書(要件を満たすこと)
- 施術所開設届の写し
また、共済組合連盟や防衛省への申請には「承諾番号」の取得が必要となり、個別に連絡・手続きする必要があります。
中でも防衛省は、毎月20日締め切り(必着)で書類を取りまとめるスケジュールになっているため、タイミングを逃さないように注意が必要です。
労災保険の取扱いを希望する場合には、労働基準局での1〜2ヶ月の審査期間を見越して早めの準備が求められます。
ポイントは「順番とタイミング」。
まずは保健所へ開設届を提出し、その写しを基に各機関へ受領委任申請を行う流れとなるため、遅れが連鎖しないよう事前計画が鍵となります。
必要な届出を見逃すと、施術ができても保険請求ができない事態に陥ります。
開業後すぐに保険診療を始めたいなら、これらの届出は必須項目です。
各届出の詳細と必要書類一覧
接骨院を開業するには、いくつかの行政機関へ提出すべき届出があります。
その手続きの正確さとスケジュール管理が、開業後のトラブル防止につながります。
ここでは、各届出先の具体的な申請方法と必要書類を整理して解説します。
保健所への施術所開設届
接骨院の開設には、管轄する保健所へ「施術所開設届」を提出することが最初のステップです。
この届出は、柔道整復師法第19条により義務づけられており、開業後10日以内に届け出なければならないとされています。
しかし、開設届は単に書類を提出すれば良いわけではありません。
保健所によっては事前相談や図面の確認が必須とされる場合もあり、慎重な準備が求められます。
【提出に必要な主な書類】
書類名 | 説明 |
施術所開設届 | 所定の様式で作成。開設日や管理者の情報を記載します。 |
柔道整復師免許証の原本および写し | 有効な免許証であることを証明します。 |
施術所の平面図 | 各部屋の配置や用途、面積がわかるように図面化します。 |
最寄駅からの案内図 | アクセス経路が明確に示されている必要があります。 |
賃貸契約書の写し(賃貸物件の場合) | 契約内容と契約者情報を確認できる書類です。 |
法人登記簿謄本および定款(法人の場合) | 法人としての事業運営を行う場合に必要な法人情報です。 |
開設届は2部用意し、1部は控えとして受領印をもらって保管しておくことが重要です。
この控えは、後に厚生局や労働基準局へ届出を行う際にも活用されます。
また、保健所によって構造基準や添付資料が異なることがあるため、事前に電話などで確認を行っておくと安心です。
申請に不備があると再提出を求められ、予定していた開業日に間に合わないリスクもあるため注意が必要です。
地方厚生局・共済組合連盟への届出
保健所への開設届を提出した後は、保険診療を行うために「受領委任契約」の届出を地方厚生局へ行う必要があります。
この届出により、健康保険(社保・国保)への療養費請求が可能になります。
ただし、厚生局の届出だけでは不十分で、国家公務員や地方公務員、自衛官などの保険者に対しても別途申請が必要です。
【地方厚生局への申請に必要な主な書類】
- 受領委任取扱い申出書(様式第2号)
- 柔道整復師免許証の写し
- 施術所開設届の写し(受領印付き)
- 実務経験期間証明書(必要な場合のみ)
- 誓約書・確約書など各様式(地域により異なる)
この手続きを完了すると、契約記号番号が交付され、保険者に対する請求が可能となります。
一方で、国家公務員関係の保険者である共済組合連盟については、別途「共済連盟承諾番号」を取得しなければなりません。
【共済組合連盟への主な届出書類】
書類名 | 備考 |
柔道整復療養費の受領委任取扱申出書 | 所定の様式を使用(様式第1号) |
遵守事項確約書 | 法令・ガイドラインを遵守する旨を明記 |
柔道整復師免許証の写し | 国家資格を証明するもの |
返信用封筒(84円切手貼付・住所氏名記載) | 結果通知用として使用 |
また、地方公務員に対応するには「地方公務員共済組合協議会」へ個別に申請が必要なケースもあるため、管轄の情報を事前に確認しましょう。
共済連盟や協議会は提出期限や必要様式が頻繁に変更されることがあるため、申請前に必ず公式サイトをチェックすることをおすすめします。
労働基準局への労災指定申請
接骨院では、業務中のケガや通勤災害に対応する「労災保険」の指定医療機関として登録することも可能です。
この指定を受けることで、労働者が労災保険を適用して施術を受けることができるようになります。
指定を受けるには、所轄の労働基準局へ申請書を提出し、1ヶ月半程度の審査を経て承認される流れになります。
【労災指定に必要な主な書類】
- 労災保険指名申請書
- 確約書(法令遵守・情報管理に関する内容)
- 施術所開設届の写し(受領印あり)
- 柔道整復師免許証の写し
- 平面図・見取り図(施設の構造を確認するため)
- 指定薬局・指名機関登録報告書
加えて、接骨院の運営形態により追加書類が発生します。
【追加書類の違い】
経営形態 | 追加で必要な書類例 |
柔道整復師が1人のみの場合 | 受任者払の申出書 |
法人経営または複数人の柔道整復師が所属する場合 | 受任者選任届・同意書・指名施術所申請書 など |
労災指定は、接骨院の信頼性向上にもつながるメリットがあり、企業からの紹介や患者数の増加にも好影響を与える可能性があります。
ただし、提出書類に不備があると審査に大幅な遅れが出るため、漏れなく準備を整えてから申請しましょう。
必要な届出を確実に行うことで、接骨院としての信頼性と経営の安定性を築くことができます。
これらの届出は単なる形式ではなく、患者さんに安心して来院してもらうための大切な基盤です。
税務署への届出と経営スタートの基本
接骨院を開業する際は、保健所や厚生局への届出だけではなく、税務署への手続きも忘れてはならない重要なステップです。
税務署への届出は、個人事業主としての登録を行い、正式に事業を開始することを国に知らせるためのものです。
また、開業後の経営を安定させるためには、資金計画やマーケティング施策の準備も不可欠となります。
この章では、税務署への開業届の提出方法と、接骨院経営のスタートに向けて行うべき基本事項について詳しく解説していきます。
個人事業の開業届とは?
接骨院を開業するには、税務署へ「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出する必要があります。
この届出は、開業日から1ヶ月以内に所轄の税務署へ提出することが法律で義務づけられており、事業開始を国に報告する役割を担います。
届出を行うことで、正式に個人事業主として認められ、確定申告や経費処理などの手続きが可能になります。
【開業届の提出に関する基本情報】
項目 | 内容 |
書類名 | 個人事業の開業・廃業等届出書 |
提出先 | 開業地を管轄する税務署 |
提出期限 | 開業日から1ヶ月以内 |
提出方法 | 窓口持参・郵送・e-Taxのいずれか |
控えの取り扱い | 提出用と控え用の2部を用意し、控えに収受印を押して保管 |
開業届の提出は、自身で簡単に行うことが可能で、提出用紙は国税庁のホームページからダウンロードできます。
また、開業届と一緒に提出することで節税メリットが得られるのが「青色申告承認申請書」です。
青色申告を利用することで、最大65万円の特別控除や赤字の繰越控除など、税務上の優遇措置を受けることができます。
【青色申告承認申請書を提出するメリット】
- 65万円の所得控除が受けられる
- 赤字を3年間繰り越せる
- 家族への給与を経費にできる(事業専従者給与)
これらの制度を上手く活用することで、年間の税負担を大幅に抑えることが可能です。
青色申告を行うには帳簿付けが必要になりますが、近年では会計ソフトやクラウド会計サービスを使えば初心者でも簡単に記帳ができます。
開業後の経営準備に必要なこと
税務署への届出を終えても、接骨院の経営はスタートラインに立ったに過ぎません。
ここからは、安定した運営と成長を実現するために準備すべき経営基盤づくりが求められます。
【開業後に優先して取り組むべき準備】
項目 | 概要 |
コンセプト設計 | 院の特徴・提供価値・顧客ターゲットを明確化 |
資金計画と経費管理 | 初期投資・運転資金・月次収支の試算を行う |
集客戦略と広告施策 | チラシ・SNS・ホームページを活用した情報発信 |
内装・設備の整備 | 患者目線で快適な空間づくりを意識 |
スタッフ採用・研修 | 将来の多店舗展開や施術の質維持に必要な投資 |
特に重要なのは、接骨院のコンセプトとターゲットを明確に設定することです。
例えば、「産後ケア専門」や「スポーツ障害に特化」など、専門性を打ち出すことで競合との差別化がしやすくなります。
さらに、チラシ配布やLINE公式アカウントの開設、ホームページのSEO対策など、Webとリアルの両面からの集客施策も必須です。
また、資金繰りに関しては、開業前の段階で1年分の収支シミュレーションを作成しておくと安心です。
不測の事態にも対応できるよう、初期費用のほかに運転資金を十分に確保しておきましょう。
【経営準備で特に注意すべきポイント】
- 売上の目標値と必要来院数の算出
- 初期投資の回収期間の試算
- 人件費・家賃・広告費のバランス管理
- キャッシュフローの可視化
- 開業支援セミナーや専門家の活用
「施術の腕」だけでなく「経営者としての意識」が問われるのが開業後の現実です。
そのため、必要に応じて中小企業診断士や税理士、接骨院開業支援団体のセミナーなどを活用することも視野に入れましょう。
接骨院経営は、施術者としてのスキルだけでは成功しません。
届出の正確な対応と、戦略的な経営準備の両輪が必要不可欠です。
まとめ
接骨院を開業するためには、届出手続きの正確な理解と計画的な準備が必要不可欠です。
本記事でご紹介したように、開業に際しては、保健所への施術所開設届の提出をはじめ、地方厚生局・共済組合連盟・労働基準局への受領委任や労災指定の申請、税務署への開業届の提出と、複数の行政機関とのやり取りが発生します。
これらの手続きは、順序やタイミングを誤ると、開業予定日が遅れたり、保険請求ができなかったりと経営に直接的な影響を及ぼすため、慎重に進めることが重要です。
さらに、届出だけではなく、コンセプト設計や集客戦略の構築、資金計画といった経営視点での準備も欠かせません。
開業後の収益安定や差別化を目指すなら、施術の質を高める設備導入も経営成功のカギになります。
特に今、多くの接骨院が導入を検討しているのが、短時間で高効果を実現する次世代EMS機器「時短君」です。
【時短君が選ばれる3つの理由】
- 30分で深層筋までしっかりアプローチできる高出力EMS
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「時短君」は、効率的な院運営と患者満足度の向上を両立させるための強力な武器となり得ます。
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