
整骨院の開業には数百万〜1,000万円近くの資金が必要です。しかし、助成金や補助金を上手に活用することで、その負担を大きく軽減できます。本記事では、2025年に整骨院開業で活用できる補助金・助成金【全9種】を厳選してご紹介。条件や特徴、申請の流れ、よくある落とし穴もあわせて解説します。
整骨院開業で助成金・補助金を活用するべき3つの理由
整骨院を新たに開業する際、多くの人が直面するのが資金面の不安です。テナント取得費や医療機器の購入費、人件費や広告費など、さまざまな初期費用が発生します。
このような中、国や自治体が提供する補助金・助成金制度を活用することは、開業をスムーズに進める上で非常に有効な手段となります。
ここでは、整骨院開業において助成金・補助金の活用がなぜ重要なのか、3つの視点からわかりやすく解説していきます。
① 初期費用の負担を軽減できる
整骨院を開業するためには、数百万円から1,000万円以上の初期投資が必要とされることが一般的です。
以下のような費用が主に発生します。
【整骨院開業時の主な初期費用】
費用項目 | 内容例 |
テナント取得費 | 敷金・礼金・保証金・仲介手数料など |
内装工事費 | 施術室・受付・待合スペースの設計・施工 |
医療機器購入費 | 電療機器・牽引機・ベッド・備品など |
広告宣伝費 | チラシ・ホームページ・看板・SNS広告など |
その他経費 | 電話・インターネット契約、レセコン導入費用など |
これらの費用を全て自己資金や借入だけで賄うのはリスクが大きいと言えます。
その点、補助金や助成金を利用すれば、例えば「小規模事業者持続化補助金」で最大50万円、「IT導入補助金」では最大450万円の補助を受けることも可能です。
このように、実質的にかかる費用を大きく削減できる点が最大のメリットであり、初めての開業で資金に余裕がない方にとっては大きな安心材料となります。
② 経営初期の資金繰りが安定する
開業後すぐに利益を出すのは簡単ではありません。整骨院のような地域密着型ビジネスでは、患者の認知獲得と信頼の構築に時間がかかるため、開業後3〜6か月間は赤字が続くことも珍しくありません。
このような「経営初期の空白期間」を乗り切るためには、運転資金を確保しておくことが極めて重要です。
補助金や助成金を活用することで、次のような効果が期待できます。
- 必要な資金を融資に頼り切らずに確保できる
- 設備費や広告費を軽減し、運転資金に余裕を持たせられる
- 支給された補助金を広告宣伝や人件費に回すことができる
特に「地域雇用開発助成金」や「キャリアアップ助成金」は従業員の雇用や処遇改善に対する支援も含まれており、スタッフを雇う整骨院にとっては非常に相性の良い制度と言えるでしょう。
資金繰りが安定していると、精神的にも余裕を持って経営判断ができるため、結果として開業後の成長スピードも加速しやすくなります。
③ 事業の信用力アップにもつながる
助成金・補助金の申請には、しっかりとした事業計画書や支出計画書の提出が求められます。つまり、これらの制度に採択されるということは、第三者である行政や審査機関から「この事業には実現性がある」と認められたことを意味します。
このような「外部評価」が得られることで、以下のような信用力の向上効果が期待できます。
- 金融機関からの融資審査がスムーズになる
- パートナーや取引業者からの信頼が高まる
- 従業員の応募者に安心感を与える
とくに整骨院のような小規模な医療サービス業では、個人の信用だけで資金調達や採用を行うのは難しい場面もあります。
そこで、助成金や補助金の採択実績があることで、「資金調達力」や「計画性」がある事業者であることの裏付けになります。
また、行政との接点を持つことで、他の支援制度や専門家とのネットワークにもつながる可能性があり、長期的な経営の後押しとなる効果も期待できます。
整骨院開業に使える補助金・助成金9選
整骨院を開業する際に活用できる補助金・助成金制度は数多く存在します。
制度ごとに「対象条件」や「補助対象の内容」「金額の上限」などが異なるため、事前の確認と比較検討がとても重要です。
この章では、整骨院開業時に役立つ補助金・助成金を【9つ】厳選してご紹介します。
大きく分けて、「開業・設備投資向け」と「人材採用・育成向け」の2ジャンルに分類していますので、自院の状況に合わせて活用できる制度を見つけてください。
開業・設備投資におすすめな補助金5選
整骨院の開業準備では、設備投資・内装工事・広告宣伝といった費用が一気にかかるため、補助金の活用が大きな助けになります。
ここでは、特に設備導入や店舗開設、ITツール導入に活用しやすい補助金制度を5つ紹介します。
①小規模事業者持続化補助金
個人事業主や小規模法人に特化した、最も使いやすい補助金制度のひとつです。
【特徴】
- 対象:従業員5人以下の整骨院など小規模事業者
- 補助率:2/3
- 上限額:50万円(条件により100万円も)
- 使える費用:店舗改装費、機器購入費、広告費、ウェブサイト作成費など
「商工会」や「商工会議所」と連携して申請を行う点が特徴で、採択率も比較的高いとされています。
②IT導入補助金
整骨院で電子カルテや予約管理システム、会計ソフトなどを導入したい方に最適な補助金です。
【特徴】
- 対象:中小企業または小規模事業者
- 補助率:1/2(枠によっては最大3/4)
- 上限額:450万円(通常枠B類型の場合)
- 対象費用:ITツール、ソフトウェア、周辺機器の導入費用
「IT導入支援事業者」と連携して申請する必要があり、導入後の運用支援まで行われるケースも多いのが特徴です。
③ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(通称:ものづくり補助金)
生産性向上やサービスの革新を目的とした設備投資に使える大型補助金です。
【特徴】
- 対象:中小企業、小規模事業者
- 補助率:1/2~2/3
- 上限額:最大1,000万円
- 対象費用:医療機器・高機能ベッド・新サービス導入にかかる設備費
高額な医療機器や、独自の施術プログラム開発に取り組む整骨院には特におすすめの制度です。
④事業再構築補助金
新分野へのチャレンジや、ビジネスモデルの転換を支援する補助金です。
【特徴】
- 対象:コロナなどで売上が減少した事業者
- 補助率:中小企業で2/3まで
- 上限額:1,000万円~最大8,000万円(枠により異なる)
- 対象費用:新事業の設備費・建物費・広告費・人件費など
既存の整骨院に加えて、リハビリやフィットネス要素を取り入れるなど「新しい収益モデル」を検討する院に向いています。
⑤自治体の創業支援補助金
各都道府県・市区町村で実施されている独自の創業支援制度です。
【例】
- 東京都「創業助成事業」:最大300万円支給
- 横浜市「空き店舗開業助成」:賃料・改装費の一部補助
- 姫路市「まちなか創業支援」:中心市街地での創業を補助
公募時期や条件が自治体ごとに異なるため、開業予定地の自治体ホームページをこまめにチェックすることが重要です。
人材雇用・育成に活用できる助成金4選
整骨院は少人数体制でも成り立ちますが、受付スタッフや施術助手、柔道整復師などの人材を確保・育成していくことが事業の成長に直結します。
ここでは、人材の採用・教育・処遇改善に使える助成金を4つご紹介します。
①地域雇用開発助成金
雇用機会が少ない地域に整骨院を開業し、地元の人を雇用すると支給される制度です。
【特徴】
- 対象:特定の地域で事業所を設置・雇用を行う事業主
- 上限額:50万~1,600万円(雇用人数や投資額により変動)
- 対象費用:内装費・不動産取得費・雇用経費など
地方都市や空き店舗対策エリアで開業を考える場合、非常にメリットの大きい制度です。
②キャリアアップ助成金
パートやアルバイトなど非正規雇用のスタッフを正社員化することで支給される制度です。
【特徴】
- 対象:正社員転換、賃金改善、研修制度の整備など
- 支給額:1人あたり最大57万円(正社員化コース)
- その他:賞与制度導入、健康保険加入などでも別枠支給あり
整骨院で長く働いてくれるスタッフを育てたい場合に非常に相性の良い制度です。
③両立支援等助成金
育児や介護をするスタッフの働き方支援を行う事業者に対する助成金です。
【特徴】
- 対象:育児休業取得・職場復帰支援・代替要員の確保など
- 支給額:1人あたり最大60万円(育児休業コース)
- コース:不妊治療支援、介護支援、テレワーク制度導入など多数
家庭と仕事の両立を支援する制度が整った職場は、応募者からの印象も非常に良くなります。
④人材開発支援助成金
スタッフの研修・セミナー受講・スキルアップを支援する制度です。
【特徴】
- 対象:OJT、OFF-JT、外部研修など
- 支給内容:研修費+賃金補填の2種類
- 上限額:1人あたり最大50万円程度(コースによる)
新人施術スタッフへの接遇研修や、治療技術向上のための研修に使えるため、質の高いサービスを提供したい整骨院に最適です。
助成金・補助金の申請を成功させるための3つのポイント
整骨院の開業で助成金・補助金を活用するには、申請書類の内容と準備の進め方が採択の可否を大きく左右します。
制度によって審査基準は異なるものの、共通して重視されるポイントがあります。
ここでは、申請成功の可能性を高めるために意識すべき3つの重要な視点を紹介します。
① 事業計画の具体性を高める
補助金・助成金の審査で最も重視されるのが「事業計画書の内容」です。
審査員は提出された書類だけをもとに、この事業に投資する価値があるかどうかを判断します。
そのため、計画に曖昧さがあると即座に不採択となるリスクが高まります。
良い事業計画にするためには、以下のような要素を具体的に記載しましょう。
【事業計画書に記載すべき内容】
項目 | 具体的に書くべきこと |
開業の目的 | なぜ整骨院を開業するのか、その社会的・地域的意義 |
市場・立地分析 | 開業エリアの人口、競合院の数、ターゲット層のニーズなど |
提供するサービス | 保険診療だけでなく、自費メニュー・リハビリ・美容整体など独自性ある施術内容の紹介 |
売上・利益計画 | 初年度〜3年目までの売上・利益・損益分岐点などの財務見通し |
成長戦略 | リピーター獲得方法、集客手法、人材採用計画、今後の店舗展開構想など |
特に新規性や地域貢献性、事業の持続性に言及できると、高評価を得やすくなります。
「◯年以内に黒字化」「地域高齢者向けメニューを新設」など、数字や具体的アクションを示すことが成功への鍵です。
② 使途・支出根拠を明確に示す
次に重要なのは、補助金・助成金を「何に」「どのように」使うのかを明確に示すことです。
どんなに立派な計画があっても、支出内容があいまいだと審査でマイナス評価となることがあります。
とくに補助金は「対象経費」が制度ごとに細かく定められており、不適切な項目を含めてしまうと不採択や返金対象になることもあります。
【例:支出計画の適切な書き方】
NG例 | OK例 |
「広告費 50万円」 | 「ホームページ制作費(業者見積あり)35万円、SNS広告費 15万円」 |
「備品購入 100万円」 | 「電療機器A型 58万円、骨盤矯正用ベッド 30万円、診察券印刷費 12万円」 |
「内装費」 | 「待合スペース改装工事(見積書添付)、バリアフリートイレ設置(図面添付)」 |
できる限り「金額の根拠」と「見積書・資料・商品名」などを添えて書くことで、信頼性が格段にアップします。
また、経費が「補助対象か否か」の確認は、事前に公式サイトや事務局に問い合わせて明確化しておくことが重要です。
③ 締め切りに間に合うよう早めに準備する
助成金・補助金制度は、多くが年に数回の公募形式で実施されており、申請期間が短いことが特徴です。
申請書類の準備に数週間〜1か月以上かかるケースもあるため、余裕を持ってスケジュールを立てることが不可欠です。
また、以下のような「見落としがちな準備作業」もあるため注意が必要です。
【準備に時間がかかるポイント】
- 商工会議所や支援事業者からの確認印が必要な場合がある
- 見積書の取得に日数がかかる
- 法人番号・履歴事項全部証明書などの公的書類の発行手続き
- 電子申請システムの事前登録やID取得が必要
これらを踏まえると、公募開始前の段階から情報収集と準備を始めておくことがベストです。
補助金制度の公式サイトや、J-Net21(中小機構)、ミラサポplus(中小企業庁)、自治体の創業支援ページなどを定期的にチェックし、次回公募に向けて早期行動することが、成功のカギとなります。
助成金・補助金の申請は「書類の質」と「準備スピード」が採択を大きく左右します。
整骨院の開業という大きなチャレンジを確実にスタートさせるためにも、この3つのポイントを意識して、確実な申請準備を進めていきましょう。
助成金・補助金申請時の注意点2つ
整骨院の開業時に助成金や補助金を利用することは、資金面の負担を軽減し、経営の安定化につながる有効な手段です。
しかし、制度を正しく理解しないまま進めてしまうと、「不採択」「補助金の返還」「無駄な費用の発生」など、思わぬトラブルを招く恐れがあります。
この章では、申請時に特に注意しておきたい2つのポイントを解説します。
① 採択は確約されていないことを理解しておく
助成金や補助金は、申請すれば必ずもらえるという制度ではありません。
多くの制度は「審査制」であり、申請内容によって不採択となるケースも少なくありません。
特に補助金は、以下のような理由で採択されないことがあります。
【不採択の主な原因】
- 事業計画が曖昧で説得力に欠ける
- 記載内容に不備や誤字脱字が多い
- 補助対象外の費用を含んでしまっている
- 提出書類が不足している、締切に間に合わなかった
- 類似事例との差別化ができていない
とくに「小規模事業者持続化補助金」や「ものづくり補助金」など競争率の高い制度では、毎回多くの申請が集まり、採択率が50%未満になることも珍しくありません。
つまり、助成金や補助金はあくまでも「採択されたらラッキー」くらいの感覚で活用を検討すべきです。
そのため、助成金に頼り切った開業資金計画を立てるのは非常に危険であり、最低限の自己資金や融資による確実な資金調達も同時に進めておくことが重要です。
② 支援業者への依頼は慎重に選ぶ
助成金や補助金の申請をサポートしてくれる「支援業者」や「コンサル会社」への依頼は有効な手段の一つです。
ただし、すべての業者が信頼できるとは限らず、安易な依頼は大きなリスクにつながる可能性もあります。
以下のような点に注意して選定しましょう。
【支援業者選びで注意すべきポイント】
注意点 | 解説 |
着手金が高額すぎないか | 相場は5万〜15万円前後。異常に高い場合は契約前に必ず詳細を確認しましょう |
成功報酬の割合 | 採択後の報酬は「受給額の15〜20%」が一般的です。それ以上の請求は過剰な可能性があります |
実績があるか | 過去の採択件数や成功事例を明示している業者は安心感があります |
コンプライアンスを守っているか | 虚偽記載や水増し請求を促すような業者は違法性が高く、補助金返還・法的責任のリスクがあります |
行政や商工会議所との連携体制があるか | 商工会との協力関係がある業者は手続きがスムーズになりやすいです |
「採択率90%以上」「全額保証」などの甘い言葉には特に要注意です。
誇大広告を信じて契約してしまい、結果的に補助金が採択されなかった場合でも高額な費用を請求されることがあるため、契約書の内容を必ず事前に確認しましょう。
また、可能であれば地域の商工会議所や中小企業支援センターなど、信頼性の高い公的機関に相談するのが安全な方法です。
助成金や補助金は、正しく活用すれば整骨院開業の強い味方になりますが、制度の仕組みや申請のリスクを正しく理解した上で進めることが大切です。
「採択されるとは限らない」「誰にサポートを依頼するかも重要」-この2点を押さえておくだけでも、失敗のリスクは大幅に減らすことができます。
まとめ
整骨院を開業する際には、自己資金や融資に加えて、補助金・助成金をうまく活用することで、初期投資の負担を大幅に軽減することが可能です。
ただし、各制度には明確な申請条件や対象経費が定められており、事業計画の具体性や資金の使途などが採択の成否を左右する重要なポイントとなります。
また、採択の確約がない補助制度に依存しすぎるのはリスクであり、支援業者選びにも注意が必要です。
そのうえで、開業後に継続的な成長を目指すためには、集患体制の構築や業務効率化を図る設備投資など、補助金の活用以外にも中長期的な視点が欠かせません。
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