はじめに|この記事でわかること
本記事では、柔道整復師・整骨院経営者にとって避けては通れない「保険請求」や「個別指導」の実態、不正請求の末路、そして今後の業界の展望について、業界歴22年のベテラン、株式会社MINUTESの仁藤武さんと、武蔵野メディカル上田が対談形式で深堀りした内容を完全収録・再構成したものです。※YouTube動画はコチラ
この記事を読むことで、以下の点が明確になります:
- 保険請求にまつわる個別指導のリアル
- 不正請求の種類とバレるプロセス
- 呼び出しの理由と対処法
- 今後の柔整業界の未来と二極化の流れ
- 保険と自費のバランス戦略
それでは順を追って解説していきます。
第1章|個別指導とは?知らないでは済まされない保険請求の現実
1-1. 個別指導の背景にある「重症審査委員会」とは?
2018年以降、全国の都道府県ごとに設置された「重症審査委員会」。この委員会は、健康保険組合(協会けんぽなど)と連携しながら、柔道整復師が提出するレセプトの傾向調査を行っています。
レセプトに以下のような特徴が見られると、指導対象となる可能性が高まります:
- 長期化する初検施術
- 毎回3ヶ月で終了し、またすぐ開始されるような循環
- 曖昧な不詳原因の連続
いわゆる「傾向調査」は、過去数ヶ月〜数年分のデータを横断的にチェックされ、呼び出しの“タネ”になります。
1-2. 呼ばれるのは不正者だけではない
呼び出し=不正をした、と思われがちですが、実際には「真面目に請求していても」呼ばれるケースが多くあります。
特に以下のようなパターンは要注意:
- 通院回数・頻度が多い患者が多い
- 請求の文面・内容がワンパターン
- 初検・再検の扱いが形式的すぎる
つまり、不正をしていなくても「請求のクセ」が呼び出しの理由になるのです。
第2章|不正請求の実態と探偵の存在|水増しの代償とは?
2-1. 「バレなければOK」は完全にアウト
よくある不正請求の例として、以下のようなケースが挙げられます:
- 実際は4日しか来院していない患者を「10日通院」として水増し
- 施術していない温罨法や電療を記載
- 実際には受付していない休診日に施術したことにする
保険会社側は、このような疑わしい請求が出てくると探偵を雇って調査します。
探偵は:
- 診療所の営業時間を監視
- 出入りする患者を撮影
- 定点カメラでの録画
- 数日間の張り込み
などを行い、「実際に患者が来院していない」ことを裏付けます。
2-2. バレたらどうなる?
不正が発覚した場合のリスクは以下のとおりです:
- 詐欺罪として刑事告発(ニュースにもなります)
- 探偵費用や保険会社の調査費用(数十〜数百万円)を請求される
- 保険会社との契約打ち切り
- 名指しで中止リストに掲載(厚労省HPに公開)
「知らなかった」「請求担当に任せていた」では通用しません。
第3章|個別指導の現場|“詰められる”とは?
3-1. 指導当日の流れと持ち物
呼び出された場合、以下の資料を求められます:
- 来院記録
- 患者との予約記録
- 施術録(5年分)
- 同意書、保険証情報
これらを持って管轄の保険部門に赴き、審査官との面談が行われます。
「完全に犯罪者扱いされる」という声もあるほど、厳しい口調・指摘を受ける場面も多く、かなりの心理的圧力があります。
3-2. 中止処分になるとどうなるか?
- 5年間の保険請求停止
- 再開には管理柔整師の変更・法人登記の再取得が必要
つまり、1度でも不正とみなされれば、即廃業のリスクがあるということです。
第4章|「自費移行」は本当に正解か?保険と自費の最適バランスとは
4-1. 自費のみに振り切った院の末路
よく聞く話が「保険請求怖いから、もう全部自費にします」というもの。これは要注意です。
今まで保険で通っていた患者が、急に5,000円〜8,000円の自費価格に変わったらどうなるか?答えは明白です。「通えなくなる」患者が多発します。
事実、多くの院が自費完全移行で患者数を大幅に減らし、廃業に追い込まれています。
4-2. 保険の最大のメリットとは?
重生師にとって、健康保険を扱える最大の強みは以下の2点です:
- 地域の患者が安心して受診できる価格
- 日常のケガ(外傷)に保険で対応可能
この優位性を手放すのは、ビジネス的にも社会的にも大きな損失です。
第5章|柔整業界の未来|グループ院vs個人院の二極化と希望
5-1. 勝ち組は「教育されたスタッフを育てたグループ院」
現在、柔整業界は完全に「二極化」が進んでいます。
勝ち組グループ院 | 苦戦中の個人院 |
---|---|
高単価・高回転モデル | 低単価・低集客 |
スタッフ教育の徹底 | 院長ワンオペ運営 |
マーケティング強化 | 地域密着だが広告が弱い |
しかし、「グループだから良い」「個人院は終わっている」というわけではありません。
個人院の魅力は:
- 地域密着で患者との信頼関係が強い
- キャリアの長い施術者が多い
- オーダーメイドの施術が可能
つまり、「信頼+技術」を武器にすれば、個人院でも十分に勝負できるのです。
第6章|これからの柔整院が目指すべき方向性
6-1. 自費と保険のハイブリッド型モデルが最強
将来を見据えた運営モデルは以下の通りです:
- 保険請求は正しく丁寧に継続
- 自費メニュー(猫背矯正、産後骨盤矯正、トレーニングなど)を育成
- 施術録と管理体制をクラウドで一元化
- GoogleマップやSNSでブランディング
特に自費移行を考える場合は「段階的に」導入し、「保険→自費」のステップを設けることで、患者離脱を最小限にできます。
6-2. 国が保険を完全にやめることはない
「保険制度が終わるから、今のうちに辞めよう」という声もありますが、それは誤解です。
段階ジュニア世代が70歳を超える2040年前後には、保険制度の重要性はむしろ増します。
セーフティネットとしての役割を果たし続けるためにも、正しい保険活用が求められるのです。
おわりに|健全な請求こそが最大の武器
柔道整復師の価値は、正しい施術と正しい請求によって守られます。
一部の不正によって業界全体が悪く見られる中、「自分たちは健全にやっている」と胸を張って言えるよう、日々の積み重ねが問われています。
今回のような対談・情報発信を通じて、「健全に経営する整骨院こそが勝ち残る」という流れが定着していくことを願っています。
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それではまた。